過払い金が発生するまでの間には様々なことがありましたが、その中で最も大きな契機となったのは平成18年1月に下された、違法金利による貸し付けにおける本来支払う必要のなかった返済については無効という裁判所の判断でした。これがあるからこそ今日のように過払い金請求が出来るようになっているのですが、実はここに至るまでには、消費者金融が利用していたある制度が関係しています。その過払い金の誕生を説明する上で欠かすことができないものとなるのが「みなし弁済制度」です。これは改正前の貸金業法の第43条で定められていた制度で、「利息という認識で消費者が任意に支払う」と「出資法で定める29.2%を超えない金利である」の二つの条件を満たしさえすれば、本来あるべき金利を超えた貸付をしても許されるというものでした。
つまり過払い金はあくまでも、消費者が自分から支払いたいとして支払ってくれたものだと消費者金融は主張していたのです。ですが現実としてそういったことがあるのかと言われれば、十中八九ありません。そもそも契約の段階において「法律ではもっと低い金利で貸さなくてはならないがそれは消費者に教えない」という不公平なルールの下で契約が行われていました。本来開示するべき情報を開示しないまま契約をするのですから、裁判所はこれに対して明らかに公平なルールではないとして、それが無効のものだという判断を下したのです。
これによって最大手業者の倒産など貸金業者は激動の時代を迎えることになったのですが、原因を見れば自業自得と言える部分があったのです。