過払い金請求は現在全国各地で行われるものとなりましたが、貸金業者などからするとこうしたことは歓迎できないことでしょう。もちろん本来請求するべきではない金利で請求した部分の返還なのですから行って当然なのですが、一部業者では経営悪化などから「ゼロ和解」という提案をするようになってきました。このゼロ和解とは現在返済中の借金の過払い金返還請求をかけた際、貸金業者から「現状の債務をゼロにしますから、過払い金返還は無しにしましょう」と提案をされることです。債務をゼロにする代わりに返還をしないという内容で和解をするから「ゼロ和解」です。
これが持ちかけられると「債務が無くなるなら」と言って受けてしまいがちなのですが、これは冷静に判断することが必要です。例えばゼロ和解で無くなる債務が50万円あったというような場合ですが、これだと貸金業者はその後返済してもらえる50万円を捨てていることになります。しかしこうしたことを、貸金業者が善意で行うことは無いと考えるべきです。殆どの場合、この背後には50万円以上の過払い金が存在しています。
ここでは仮に60万円の返還があるはずだったと仮定すると、貸金業者にとって返還請求に応じることは10万円のマイナスを生むことになります。これだと債務が過払い金で完済され、さらに業者は10万円を支払うということになるからです。ですがここでゼロ和解が成立したのであれば、その貸金業者の損失は50万円の債務をゼロにして60万円の返還はしなくて済むわけですから、返済される予定だった50万円が無くなるだけで済むでしょう。結局この場合、貸金業者にとっては債務を無くすゼロ和解の方が得で、契約者は本来完済して手元に戻ってくるはずだった10万円を失うことになってしまいます。
こうしたケースは珍しいことではなく全国各地で見られるものとなっていますから、冷静に検討するようにしてください。